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着色した土を重ね、断面などを利用して模様をつむぐ練り上げの技法に一貫して取り組む。その卓越した技術で、先の美濃陶芸展では美濃陶芸大賞を受賞した。
　「練り上げは未開拓な部分が多い。工夫によって新しいものができる」。その言葉の通り、新たな手法の模索を続けてきた。大賞受賞作は、作品の形の幅を広げ、精密な模様を維持するため、型に発泡スチロールを使い、シンナーで溶かす独自の手法で制作。「これに至るまで、ちょうちんの作り方でできないかと考えたり、ビーチボールで試したりしましたよ」

　農家に生まれ、米国での農業研修をへて、宇都宮大農学部の大学院を修了。大学時代に益子焼に出合い、興味をひかれる。帰郷して一度は農業の道を進もうとするが焼き物が頭を離れない。三十歳のころ、学習塾をやりながら、作陶のノウハウもよく知らないまま陶芸の道へ飛び込んだ。独学で模索を続け、中日国際陶芸展入選、国際陶磁器フェスティバル審査員特別賞など実績を重ねている。

　蚕室を改造した工房には、磁器の土と陶器の土がマーブル状になった花器やクラゲのような柔らかな模様が浮かんだつぼなど、試行錯誤で生まれた作品が並ぶ。「今までと違うところ、面白いことを足していかないと意欲がわかない。練り上げは簡単にはできないが、頑張れば突破できる部分がある」（内田由紀子）

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　美濃焼を中心に作陶に取り組む陶芸家の人物像や、陶磁器産業の話題を水曜日付で紹介します。


技
器の内も外も同じ模様
　　練り上げ　　色の違う２種類以上の土を練り合わせて、器の形をつくることからこの名がある。合わせた土の色から鶉（うずら）手、墨流し手などさまざまな呼び名がある。中国では絞胎（こうたい）とよび、約１２００年前の唐時代にはつくられている。日本では、志野に練り上げがみられる。
　一般に知られるようになったのは、人間国宝の故松井康成が、華麗な作品を展開するようになってから。以後、金太郎飴（あめ）のように、さまざまな色の土で形を作り、それを薄く切ったものを組み合わせて、器にする手法が盛んになっている。この技法では、器の内外に同じ模様が見えるのが特徴となる。（県現代陶芸美術館）