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2007年7月30日更新
阪口浩史さん(37)=多治見市 故郷の『清流』 器に
人 2007年6月6日東濃版
「ろくろにこだわり、自分らしい作品を作りたい」と話す阪口さん=多治見市の深山窯で
▲「ろくろにこだわり、自分らしい作品を作りたい」と話す阪口さん=多治見市の深山窯で

 広がりがあり、ゆったりと上下に波打った形の花器の口から、細かなくし目の流れが続く。深い緑の山に、渓谷の澄んだ水が流れるかのようだ。幾筋ものくし目により、緑色の釉薬(ゆうやく)の濃淡が浮かび上がる。見る位置をずらすと、器の膨らみやくし目の流れが変わる。
 織部花器「清流」は、昨年の日展の入選作で、ことしの東濃信用金庫による「美濃陶芸作品永年保存」作品に選ばれた。生まれ育った故郷の豊かな自然に感謝し、飛騨山脈の山肌に、川の流れを刻んでいったといい「なめらかな面とくし目の対比が素晴らしい」と評価された。

 旧神岡町(現在の飛騨市)に生まれ、中学生のころから「職人の仕事をしたい」と陶芸にあこがれ、多治見工業高校に入学。窯業専攻科を卒業後、同校の教諭だった故近田精治氏(一九三五−二〇〇四)に弟子入りし、多治見市大藪町の深山窯で修業を重ねた。

 作陶でこだわっているのはろくろ。ろくろでなくては出せない柔らかさ、膨らみを追求している。回転の中で引き上げた時の伸びきった時の力強さなどにひかれている。

 作品を、計算ずくめで仕上げたりはしない。自然に生まれる創作のアイデアを生かす。「土は生き物。反発しては作品はできない。土に逆らわない仕事をしたい」

 六日から名古屋市の松坂屋美術館で始まる日本新工芸展には、「清流」シリーズの一つで、波の入れ方などを工夫した作品を出品する。来年の日展に向けては、清流シリーズとは趣の異なった作品を構想している。

 「美濃の焼き物の伝統と歴史を受け継ぎながら、今の環境に感謝し、自分らしい作品を作りたい」と淡々と語る。今、陶芸の本質に近づきつつあるのではないかと実感し「きっと、これからが本番。真価が問われる時」と連日ろくろに向かう。(妹尾浩和)

この記事は「中日新聞多治見支局」のご協力を得て掲載しています
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